『道具を使うサル』要約

『道具を使うサル』isbn:9784260118934


ニホンザルの道具使用、身体イメージ、記号操作について論じた本です。


自然のニホンザルは道具使用しませんが、訓練によりできるようになります。
このとき、脳に後天的にニューロンが形成されます。
能力としては潜在的に持っているけど、技能として獲得しなければならないということですね。


この本では、道具使用する際に視覚的な身体イメージが拡張していることを示しています。
サルが自分の体について見ているところの集大成を暫定的に身体イメージと呼びうるのですが、道具使用すると手だけではなく道具も含めて見るようになりました。


また、この本では身体によって画面上のサルの映像を操作できるようなヴァーチャルリアリティ装置を作っています。
サルは画面上のサルを操作してエサを取ったり、画面上のサルの上にヘビの映像を載せるとはねのけようとしたりします。
即ち、自分の体と画面上のサルを同一視ないし非常に強く関連付けているということになります。
身体イメージを外部化できるということですね(自然界ではそんなことはできないけど)。


さらに進んでサルは抽象的なカーソルを操作してエサを取るようなことまでできます。
これは身体イメージの外部化を超えて、ある種記号の道具的操作の域に達しています。


要約するとこういう因果関係があるようです。

  • 視覚的身体イメージ→道具→記号