脳倫理学の本三冊まとめ

  • 技術に関して

脳状態を閲覧する機械は、今は心を読み取るとまではいかないので、そういう運用は今のところできないし、できると思われても困る。
しかし、将来的にはそういうことができる。そうなると思想・良心の自由やプライバシーの自由は脅かされる。
心は本人が最も高いアクセス権を持つべきであり、本人が拒否すれば他者から閲覧できないようにするべきだ。

  • 薬に関して

人に有意義に働くものについては、これを服用したいというのなら服用すればよい。これが人に破壊的に働くのなら規制すればよい。

  • 自由意志に関して

脳の前意識的反応は無視できないが、逆に意識が脳の反応に影響を与えているかも知れない。まだ何とも言えない。
今は脳の意志に関する部位が特定されていないが、特定された場合、その部位に障害があれば自由意志がない可能性はある。

  • 法的責任に関して

判断能力に関する部位は特定されており、その部位に障害があれば責任が減免される可能性はある。ただし社会が判断能力の劣る者に責任を減免するかどうかは社会による。

  • 道徳に関して

選好や罰に関する部位が核となっており、それが道徳的感情や判断の元となっている。道徳的判断は概ね人類全体に共通するが、文化や環境の差で解釈が異なり、これが異なる規範に至る。

  • 宗教に関して

ある部位の組み合わせで自他や時空の感覚が失われることがあり、これが宗教的体験の元となっている。これも文化や環境の差で異なる宗教に発展しうる。