『法の哲学』要約
『法の哲学』(1)isbn:4121600185『法の哲学』(2)isbn:4121600215要約
ヘーゲルの本。時代遅れ? いやいや。社会科学の観点を整理する分にはなかなか侮れませんぜ。
国際社会の階層構造
ヘーゲルは階層的に(つまり、上から下の順に)集団が生じると考えていたようです。
並列構造に書き換える
まず、ザッと見て自分用に換骨奪胎して平らに並べると、以下のものが視野に入ります。
弁証法(あるものと反対のものを悪魔合体させて悪魔超人を作るテクニック)の大家だから、
平らに並べるとヘーゲルは嫌がるんでしょうけど。
おおむね国際社会を見る時に必要なものはそろっている感じです。
特に公共サービスと地方公共団体・職業団体の連携とか、
トップは儀礼的な決定だけしていろとか、
当時にしてはかなりの先見の明を持っていたと言えるでしょう。
まだドイツは小国に分断されてて、弱小後進国家群だった時代なのに。
難点
ただ、今の時代から見れば粗も見えます。
- 大衆政党
- 政党を容認していたか? 上下院で職業別に分けてそれで終わり、とか考えてないか?
- 地主と社長しか議員になれない制限選挙を想定していたのではないか?
- 職業団体以外の利益団体
- マスメディア
- 最低でも新聞の、いわゆる「社会の公器」としての役割を指摘すべきだったのでは?
- ラジオやテレビは技術上の問題だから、予見しろっつっても無理か。
あと、裁判所が国家ではなく市民社会のものだから、三権分立の観点からすれば弱いのも気になります。
ドイツは大陸法系なので、英米法系の、裁判所の強い、違憲審査制のある国体に違和感を覚えていたのかしら。
君主や官僚制や議会を強化するためには、当時裁判所は邪魔だったのか。疑惑の種は尽きません。
まあいいや。それらも含めて、今の自分たちが考えればいい。