ダマシオの著作三部作のさらなる要約

簡単に書くとこういう感じ。

「情動」身体的な反応。怖いと心臓がどきどきするし、怒ると反撃する。

「感情」心的な反応。情動によってイメージが発生し、イメージの力で、関係する知覚や記憶を統合し、注意を向ける。

「中核意識=中核自己」:感情がより高度な脳マップに表示されたとき、感情を述語として、身体イメージを元に架空の主語が作り出される(意識は言語的ではないが、便宜的に表すとこうなる)。この架空の主語が中核意識=中核自己である。感じる意識、ともいえる。

「延長意識=自伝的自己」:中核意識が注意し、意識的な記憶であるワーキングメモリと、自分自身を説明する記憶を伴うと、延長意識=自伝的自己が生じる。自分自身を説明する意識、ともいえる。これが言語や創造性や知性や良心の源となる。

「ソマティック・マーカー」:ネガティブなものを見た時に感情がそれを選ばせないようにする仕組み。
普通、意思決定・推論というのは、あらかじめソマティック・マーカーによって選ばれたものの中で行われ、これによって効率が著しく向上している(逆にソマティック・マーカーがないといつまでたっても意思決定できない)。
注意・ワーキングメモリを強化し、記憶のランク付けを強調することができる。

「社会的意思決定・推論」:ソマティック・マーカーは我慢する機能をも支えているため、ソマティック・マーカーが損なわれている人は、我慢することができず、近視眼的にしか考えることもできないため、社会的慣習や倫理的構造が、知識としては知っていても、意思決定の基準としては理解できなくなり、倫理的な行動ができなくなる

案外、意識や道徳において、情動や感情の占める位置が大きい、という結論のようです。