性格・クロニンジャーの7因子パーソナリティ理論
神経伝達物質や遺伝子や環境と性格の関連を探るクロニンジャーの7因子パーソナリティ理論。
7因子は無意識の気質の4つと意識的な性格の3つによって成り立ちます。
かつては遺伝するものが気質、遺伝しないものが性格と呼ばれていましたが、性格も遺伝すると言われます。
概念的に操作できるのが性格、行動との関わりが強いものが気質、のようです。
参照:http://www.nttdata-getronics.co.jp/profile/lits/lits05_01.html
https://gair.media.gunma-u.ac.jp/dspace/bitstream/10087/1452/1/areh056359.pdf
気質
新奇性追求
- 特徴:行動の活性化と開始に関する遺伝的傾向性
- 関連する神経伝達物質:ドーパミン
- この因子が高い人:新しもの好き・おしゃべり・不規則な行動・衝動的・探索的・気まぐれ・飽きっぽい・興奮しやすい・怒りやすい・浪費家である
- この因子が低い人:頑固・禁欲的・規則正しい・新たな物事にゆっくりと取り組む・関心が狭くなりやすい・行動する前にじっくりと考える
火がつきやすいことのメリットとデメリットという感じですね。
損害回避
- 特徴:行動の抑制と中止に関する遺伝的傾向性
- 関連する神経伝達物質:セロトニン
- この因子が高い人:心配性・内気・悲観的・用心深い・緊張している・予期不安を持っている・怖がり・疲れやすい
- この因子が低い人:リスクを好む・外向的・楽観的・自信に満ちていてリラックスしている・無責任・社交的・活動的
自制心の強さのメリットとデメリットという感じですね。
性格
自己志向性
- 特徴:自己決定や意志の力、選択した目的や価値に一致する状況に適合するために行動をコントロール・調整し、そして選択する個人の能力
- この因子が高い人:責任感があり、目標を設定しそれに向けた行動を選択でき、選択した行動を可能にする能力を持ち、自分で選択した行動に自分を動機づけることができる
- この因子が低い人:責任感が低く、目標に向けた行動を取ることができず、自尊心が低く、自己奮起できない
自分に関する能力です。これが低いと何らかのパーソナリティ障害になりやすいとされます(後述)。
協調性
- 特徴:他人と同一化し、受容する際の個人差を説明する因子
- この因子が高い人:社会的に寛容・共感的・有用・同情的
- この因子が低い人:社会的に不寛容・他者に無関心・役に立たない・執念深い
自分と他人に関する能力です。これが低くても何らかのパーソナリティ障害になりやすいとされます。
ちょっと混乱しますが、個人的に理解した限りでは、報酬依存との違いは、他人に褒められて物事を続ける能力ではなく、他人と関わる能力であるというところでしょうか。
自己超越性
- 特徴:統一された全体の本質的必然的部分として理解される全てのものとの一体化、全てのものは全体の部分であるという統一意識
心理学が超自然的なことを言っている! まあ心の機能としてそういうものもあると言わざるを得ないところです。そういうのが世界のあちこちで宗教を作り、ほとんどの人間は何らかの宗教の信者であるということを重く受け止めればなりません。
パーソナリティ障害との関係では、統合失調質でこの因子が低いということが言われます。同じAタイプ(変人系)の統合失調型では因子の低さは見られないので、面白い特徴と言えます。
パーソナリティ障害との関連
性格の歪みが自分や社会に悪影響を与えている場合、この性格の歪みを医療の現場ではパーソナリティ障害と呼びます。
クロニンジャーはパーソナリティ障害を特徴づけている因子として先ほどの気質の因子の組み合わせを上げました。
性格・パーソナリティ障害 | 新奇性追求 | 損害回避 | 報酬依存 |
演技性 | ○ | × | ○ |
反社会性 | ○ | × | × |
自己愛性 | ○ | ○ | ○ |
境界性 | ○ | ○ | × |
普通の生真面目な人 | × | × | ○ |
統合失調質 | × | × | × |
回避性 | × | ○ | ○ |
強迫性 | × | ○ | × |
新奇性追求(アクセル)と損害回避(ブレーキ)がともに強いとストレスの元になるので、いちがいに両方あればええやん、とは言えないそうです。
報酬依存があるとストレスは若干弱まるようです。
ただこの図も、パーソナリティ障害について専門的な知識を持っている人からするとやや違うそうなので、あくまで参考程度にしてください。